薬物依存症は、一度その深みに陥ると、仕事やキャリアを失い、社会的な立場を大きく損なうことが多い。しかし、適切な支援と本人の強い意志があれば、社会復帰を果たし、新たなキャリアを築くことは十分に可能である。私は薬物依存症を克服し、社会復帰して20年以上が経過した。この長い年月を経て、薬物依存の後遺症と向き合いながら、どのように仕事とキャリアを再構築してきたのか、その軌跡を語りたい。薬物を始めたのは、仕事のストレスや人間関係の悩みからだった。最初は一時的な気分転換のつもりだったが、すぐに薬物が手放せなくなり、仕事に集中できなくなった。遅刻や欠勤が増え、顧客との約束も守れなくなり、最終的には仕事を失った。薬物依存症の治療を開始し、回復への道を歩み始めたが、社会復帰後の最も大きな課題は「仕事」だった。過去の薬物使用の経歴があるため、就職活動は非常に困難を極めた。面接では正直に過去を話したが、多くの企業から採用を断られた。社会からの偏見と不信感に直面し、自信を失いかけたこともあった。しかし、私は諦めなかった。自分にはもう薬物以外の選択肢はない、と強く心に誓い、地道に就職活動を続けた。そして、ようやく小さな会社の事務職として再スタートを切ることができた。しかし、仕事は始まったばかりで、薬物依存の後遺症が私を苦しめた。集中力の低下と記憶力の減退は、特に顕著だった。簡単な業務でもミスをしてしまったり、指示を忘れてしまったりすることがあった。また、ストレスを感じると、無意識のうちに薬物のことを考えてしまうことがあり、再発への恐怖と常に戦っていた。自己肯定感の低さも、キャリアアップの妨げとなった。自分には能力がない、どうせ無理だと決めつけてしまい、新しい挑戦を躊躇することが多かった。しかし、私はこの後遺症と向き合い続けることを決意した。この20年間、私が薬物依存の後遺症とどのように向き合い、仕事とキャリアを再構築してきたのだろうか。まず、最も重要だったのは、自分自身のペースで着実に努力を続けることだ。最初から大きな成果を求めず、まずは目の前の業務を一つずつ丁寧にこなすことに集中した。小さな成功体験を積み重ねることで、少しずつ自信を取り戻していった。